◆1. 2002年の"ポータドラム"ver.1からちょっと発展
とある事情で、どうしても「とても小さい、でもフルのドラムセット」が必要になりました。 この"事情"には、加えて「クルマでは運べない=毎回(毎週)、電車で現場に搬入しなければならない」という条件がありました。
巷のポータブルなドラムセットは、パールのリズムトラベラー系にせよ、ヤマハのヒップギグ系やカクテルドラム(縦型)系にせよ、または昔のプロカッションにせよ、現実的には「一人で」運ぶことができません。 体格のいいヒトならいけるかもしれませんが、それでも「ハードウェアやイスも全部含めて、一人で電車で移動」はまず無理です。
なら作るしかない。 というわけで ver.1を作ったのが 2002年冬。 16のシングルヘッドのバスドラも、チューニングとフェルトミュートでそれなりの音が出ていました(ところで、ArbiterやProcussionは、ほとんどのお店にてひどいチューニングのまま展示してあるので、商品やメーカーがかわいそうです ― シングルヘッドのドラムは、あれで評判を落とした面があると思います)。
それから少しずつ切ったり貼ったり、ちょっとした軽量化を図ったりして、ひとまずの完成系であるver.2が安定稼動し始めました。
ポイントは「オープンな箱をひっくり返すとイスになる」「箱(ケース)には片側に車輪がついていて、そちら側の壁にスタンドポールを固定して持ち手とし、転がして移動できる」「バスドラとタムはシングルヘッドのArbiter Flats」という感じ。 キャスターケースは、イスにしたときの安定性・大きさなどの点から、自作するしかありませんでした。 また、ケースにソリッドな蓋をつける事は断念せざるを得ませんでしたので、内張りの余りをペラッとかぶせて簡易的に保護し、移動していました。
シングルヘッドのFlats 16インチで作ったバスドラは、2本足のレッグを左右につけています。 ドラマーから見て右のレッグには、シンバルスタンドのパイプをつけて、タム2つと右側のシンバルが装着できるようになっています。 ハイハットスタンドには、(初期は8'でしたがその後は)10'のスネアとリムショット用のジャムブロック、ハイハットロッドの上にスプラッシュが装着されています。
(図)←軽量化の過程では、さまざまなものを作ったり溶接でくっつけたりして、多くの変化がありました。 また、初期には床に直起きだった「バスドラの左レッグ&右レッグ兼シンバルスタンド兼タムスタンド」を、演奏場所の制限から「ラバーシートに固定した金具に挿入して安定させる方式」に変更し、副次的に組み立ての時間が半減できたりもしました。
イスケースには、無理やり詰め込めば右図ぐらい(3TT/5Cym)まで入るのですが、重さも考慮して、普段は2タム構成で運用していました。→(図)
(図)←別の構成。スネアは有りモノのネギドラム8インチ。ライドはイスケースに収めるために両脇をカットした異様なカタチのものがついています(カットした割にあまり音は変わらなかったので、結果オーライ)。 この写真の時は、HHも激安スプラッシュ×2ですねぇ。